2年以内に認知症になる人の特徴とは?

「最近、物忘れが増えたけど年齢のせいかな…?」そんな不安を抱く人が増えています。
軽度認知障害(MCI)は、正常な加齢による物忘れと認知症の中間段階を指します。MCIの人のうち、1年で10〜15%がアルツハイマー型認知症へ進行すると言われていますが、中には安定したままの人や元の状態に戻る人もいます。

そのため、「誰が認知症に進行しやすいのか」を予測することが非常に重要です。

📝 MMSE(ミニメンタルステート検査)とは?

認知症のスクリーニング検査として最も広く使われているのが MMSE(Mini-Mental State Examination) です。
30点満点の質問形式で、以下のような項目があります。

・記憶(単語を覚えてすぐ思い出す、また少し経ってから思い出す)

・見当識(今日の日付や曜日を答える)

・注意(計算や逆唱)

・言語(物の名前を答える、文章を書く)

・構成(図形を模写する)

従来は合計点だけで判断されることが多かったのですが、今回の研究は「下位項目(サブスコア)」に注目しました。

📊 最新研究の結果 ― 鍵は「記憶・時間の見当識・構成力」

韓国の研究グループは、306人のMCI患者を2年間追跡し、どの検査項目が認知症進行と関係するかを分析しました。

その結果、以下の3つの項目が特に有用であることが明らかになりました。

記憶(遅延再生)
→ 単語を覚え、時間をおいて思い出せるか。思い出せない人は進行リスクが高い。

時間の見当識
→ 今日が何曜日か、何日かを答える力。曜日が答えられない人は特に進行リスクが高い。

構成(五角形の模写)
→ 図形を正しく描けるか。模写ができない場合、進行を予測できる。

逆に、「注意」や「言語」などは進行予測には有効ではありませんでした。

🧩 なぜ「時間の見当識」が大事なの?

興味深いことに、場所の見当識(今どこにいるか)よりも、時間の見当識(曜日や日付)が進行予測に有効でした。
これは、時間の感覚を保つには記憶・注意・空間認知など複数の脳機能が必要であり、アルツハイマー病の初期に障害されやすい領域と関連しているからだと考えられています。

💡 臨床や日常での活用

この研究の意義は、特別な検査機器や高価な画像診断が不要で、日常診療のMMSEから進行リスクを推定できる点にあります。
つまり、かかりつけ医で行うシンプルな検査からでも、早期に「注意すべき人」を見つけられる可能性があるのです。

🚀 まとめ

・MCIは認知症の前段階で、誰が進行するかを予測することが重要

・MMSEの「記憶」「時間の見当識」「構成」が進行予測に有効

・特に「遅延再生」と「曜日の見当識」が重要なサイン

・シンプルな検査でリスクを把握でき、早期介入につながる

・認知症は早期にリスクを知ることで、生活習慣の改善や治療につなげられます。
もし身近な人が「最近曜日をよく間違える」「簡単な図形をうまく描けない」といった変化を見せていたら、早めに専門医へ相談することが大切です。

Choe, Y. M., Lee, B. C., Choi, I. G., Suh, G. H., Lee, D. Y., & Kim, J. W. (2020). MMSE subscale scores as useful predictors of AD conversion in mild cognitive impairment. Neuropsychiatric Disease and Treatment, 16, 1767–1775. https://doi.org/10.2147/NDT.S263702

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