スクリーンタイムが長いと子どもに悪影響?ADHD傾向との関係

スマートフォン、タブレット、ゲーム機。
今や子どもたちの生活に「スクリーン」は欠かせない存在です。
しかし、
「スクリーン時間が長いと、集中力が下がる」
「ADHDと関係がある」
といった懸念がされています。
今回は、脳のMRIデータを使ったスクリーンタイムとADHDに関する研究を紹介します。
🧠 この研究は何を調べたのか?
この研究では、アメリカで行われているABCD Studyという大規模研究のデータを使っています。
・対象:約1万人の子ども(9〜10歳)
・追跡期間:2年間
・調査内容:
スクリーン時間(テレビ・ゲーム・スマホなど)
ADHDの症状(落ち着きのなさ・不注意など)
脳の構造(MRIで測定)
つまり、
👉 「スクリーン時間 → 脳 → ADHD症状」
このつながりを、時間を追って調べた研究です。
🔍 分かったこと①:スクリーンタイムが長いほどADHD症状は強い
結果はとてもシンプルでした。
スクリーン時間が長い子どもほど、
ADHDに関連する症状(不注意・多動性)が強い傾向がありました。
しかも重要なのは、
その時点だけでなく
2年後にも症状が強くなりやすい
という点です。
ただし、ここで大切なポイントは「影響は“小さい”」ということです。
研究者自身も「すぐに病気になる」「必ず悪影響が出る」というレベルではない、と強調しています。
🧠 分かったこと②:スクリーンタイムと“脳のかたち”の関係
この研究のすごい点は、脳MRIを使っていることです。
スクリーン時間が長い子どもでは、
・脳全体の皮質体積がやや小さい
・注意や思考に関わる前頭葉・側頭葉の一部で脳の厚みの発達がゆっくり
という傾向が見られました。
これらの脳領域は、「集中力」「計画力」「ワーキングメモリ」「言語理解」
などに関わる、とても重要な場所です。
🔗 重要ポイント:脳が「橋渡し役」になっている?
さらにこの研究では、次のような分析も行っています。
スクリーン時間 ⇒ ADHD症状
この間に「脳の変化」が入っているのでは?
分析の結果、
脳の皮質体積が、スクリーンタイムとADHD症状の関係を「部分的に説明」している
ことが分かりました。
つまり、
スクリーン時間が長い ⇒ 脳の発達がやや遅れる ⇒ ADHD症状が出やすくなる
という「つながり」が、統計的に支持されたのです。
⚠️ この研究の限界
重要なことは、この研究は
「スクリーン=悪」「禁止すべき」
とは言っていません。
理由は3つで、
・因果関係は証明できておらず、ADHD傾向がある子が、スクリーンを好む可能性もある
・効果は「小さい」ため、生活全体の一要素にすぎない
・スクリーンタイムの内容までは評価できていないため、学習用?ゲーム?SNS?は区別されていない
🌱 私たちはどう受け止めればいい?
この研究からの現実的なメッセージは、
✔ スクリーン時間は「ゼロ」にする必要はない
✔ しかし、「無制限」もおすすめできない
✔ 特に 成長期の脳では、使い方が大切
たとえば、
・ 学習・創造的な使い方
・ 運動・睡眠・対面コミュニケーションとのバランス
・ 時間を決めて使う
こうした工夫が、脳の健やかな発達につながります。
✨ まとめ
・ スクリーンタイムが長いほど、ADHD症状はやや強い
・ 脳の発達(皮質体積・厚み)とも関連している
・ 脳がその関係を「部分的に仲介」している
・ ただし影響は小さく、因果関係は未確定
・ 大切なのは「量」より「バランスと使い方」
Shou, Q., Yamashita, M., & Mizuno, Y. (2025). Association of screen time with attention-deficit/hyperactivity disorder symptoms and their development: The mediating role of brain structure. Translational Psychiatry, 15, 447. https://doi.org/10.1038/s41398-025-03672-1
