白質高信号は認知症の予兆?βアミロイドとの関係を解明!
🧩 白質高信号(WMH)って何?
脳のMRI検査を受けたことがある人は、「白い影のようなものが写っています」と言われた経験があるかもしれません。
これが白質高信号(White Matter Hyperintensities:WMH)です。
WMHは、脳の中の「白質」と呼ばれる情報伝達ケーブルのような部分(神経線維)に現れる変化で、加齢や高血圧、動脈硬化などと関係すると考えられてきました。
これまでWMHは、「血管の老化の結果」として扱われることが多かったのです。
🧠 アルツハイマー病とβアミロイドとは?
アルツハイマー病では、脳内にβアミロイドという異常なタンパク質が少しずつ蓄積します。
このβアミロイドは、認知機能の低下や記憶障害、脳細胞の機能低下などと深く関係しています。
近年の研究で、βアミロイドは脳の神経細胞だけでなく、血管や白質にも影響するのではないかと考えられるようになってきました。
🔍 この研究は何を調べたの?
今回紹介する研究では、世界中の大規模データを使い、
・ 白質高信号(WMH)は、アルツハイマー病の原因物質βアミロイドと関係しているのか?
・ WMHはどの場所で、どのように進行するのか?
を詳しく調べました。
対象となったのは、1,200人以上の参加者。
しかも、同じ人を何年も追跡してMRIを撮影する「縦断研究」です。
📈 分かったこと①:WMHは年齢だけでは説明できない
まず分かったのは、WMHは確かに年齢とともに増えるものの、「βアミロイドが多い人ほど、WMHの進行が速い」という事実でした。
これは、「WMH=血管の老化だけの問題」ではないことを意味します。
🧠 分かったこと②:特に“頭頂葉の白質”が重要
さらに注目すべき結果があります。
WMHが進行しやすい場所は、脳全体で同じではなく、
特に「頭頂葉の白質」で、βアミロイドとの関係が強く見られました。
頭頂葉は、記憶や注意、空間認識などに関わる重要な領域です。
つまり、アルツハイマー病に関連するWMHは、場所が決まっている可能性が示されたのです。
💊 分かったこと③:血圧治療はWMHの進行を抑える
一方で、希望の持てる結果もありました。
高血圧の治療を受けている人では、WMHの進行スピードが遅くなっていたのです。
これは、「アルツハイマー病のリスクがある人でも血管ケアが脳を守る可能性がある」ことを示しています。
👉 この研究が示す“新しい脳の見方”
この研究の最大のポイントは、白質高信号は「血管の老化」だけでなく、アルツハイマー病の進行と連動する“動的な脳の変化”であると示した点です。
つまりWMHは、単なる年齢のせいや放っておいてよい変化ではなく、
・ 脳の将来を予測する手がかり
・ 予防や治療効果を評価する指標
になり得るのです。
🌱 私たちにできること
この研究から得られるメッセージはシンプルです。
✅ 血圧管理は、脳の老化対策でもある
✅ MRIの白質変化は、脳の未来を映すサイン
✅ 認知症は「突然起こる病気」ではない
脳は、静かにサインを出しています。
そのサインを正しく読み取り、
早めにケアすることが、これからの「脳のアンチエイジング」につながります。
まとめ
・白質高信号(WMH)はアルツハイマー病と深く関係する
・特に頭頂葉白質の変化が重要
・血圧治療はWMH進行を抑える可能性がある
・MRIは“未来の脳”を教えてくれるツールになりつつある
Strain, J. F., Rahmani, M., Phuah, C.-L., Dierker, D., Luo, J., Owen, C., Vlassenko, A. G., Jafri, H., Bourgeat, P., Fripp, J., Jin, L., Moulder, K., Benzinger, T., Xiong, C., Lee, J.-M., Weiner, M. W., Masters, C. L., Morris, J. C., Womack, K., & Goyal, M. S. (2026). Regional growth rates of white matter hyperintensities are associated with beta-amyloid burden. Neurobiology of Aging, 160, 22–32. https://doi.org/10.1016/j.neurobiolaging.2025.12.006
